フォーラム2005 in東京・IT活用による元気な学校づくり
座談会
「IT活用で学校が変わる、地域が変わる」〜コミュニティスクールの挑戦〜
     
◆参加者 三原 徹先生 五反野小学校校長
  玉置 崇先生 光ヶ丘中学校校長
  神戸和敏先生 小牧中学校教務主任
◆司会 大西貞憲氏 NPO法人理事
◆座談会から
三原

文部科学省が実践を進めているコミュニティスクール、地域や保護者が学校運営にかかわって、学校の方向を決めていこうという実践研究をやっている学校です。その学校が校長を求めている、民間から来ないか、ということで、東京都初の民間校長となりました。新しい校長がどういうつもりで学校運営に携わり、ITがどう利用されたかということについてご紹介しようと思います。

私自身が外から見ていて、前から思っていたことなんですが、先生は忙しすぎる、公立の学校は非常に損をしている、公立の学校と言うだけで、いじめとか不登校とか、学級崩壊とか・・・、先生はがんばっているのにどうも評判が良くない。まずは先生が元気になる学校を実現できなければ、元気な子どもは作れない。そのために学校を元気にしないと。それを一番最初にやろうと考えました。
具体的に何をやったか。そこで活用したのが、ITだったということです。

IT環境の整備とネットワークの活用を通して、業務の効率化。
たとえば、朝の会議・通知表・保健の記録・・・ありとあらゆるものが手書きと転記と集計で、忙しい思いをしている。 そこをコンピュータで情報を管理し、情報の共有をすれば、一度書いたことは転記しなくてもみんな見ることができるじゃないか。通知表もわざわざコンピュータで作っておいて、それを手書きで転記しなくてもいいじゃないか。子どものいいところを見つければ、そのまま情報として書いてあげれば、自動的に通知表に入るようにしていこう、そうすれば2度も3度も同じことをすることはない、そこをしようとしています。

大西 小牧中学校の実践をかなり参考にされていると思うのですが、実際のところどんなかたちで参考にされましたか。
三原 一番最初は先生たちの時間を作ってあげなきゃいけないというのがきっかけだったんですが、玉置先生の学校が使っているソフトが非常によくできていて、無駄な会議とか時間とかを極力省き、転記や集計も省く。小学校でも同じように使えるだろう、使ってみたいと思い、声をかけました。
大西 玉置先生はどんなふうにコンピュータを使ってきたか、どんなことをやってきたか、少し説明していただけますか。
玉置 三原先生からお話がありましたように、学校というところは、1回入れた情報が2次、3次と利用されていないところがあるので、うまくITを使って、職員室内のグループウェアを使って、一度入れたデータがあらゆるところで生きていく、そんなことができるんじゃないかと思い、アイディアを出してやってきました。
大西 神戸先生、具体的に少し説明してください。
神戸 時間を作っていくということで、同じ作業を2度、3度とやるということが無駄である。これを軽減することで、もっと教師でしかできない部分はないのかなぁと探っていきました。
通知表については、評価と評定を担当者が入力すれば、データベースに入り、印刷したい時に印刷できるシステムができております。『子どもたちのデータベースを全職員で蓄積していき、2度3度と同じことをしないですむように時間を生み出していく』というようなグループウェアを動かしています。
大西 三原先生のところも実際に始められているわけですが、そんな簡単にうまくいくわけないですよね。実際のところはどうですか。
三原

朝の連絡会議がいい例ですが、今日の午後から○○先生が出張ですので、補教をお願いします。今日の提出予定は××です。担当先生は・・・・・という話を校務の自分の役割にしたがって、延々としている。ところがそれは職員室の黒板に書かれている。大事なことはプリントで配られている。無駄な時間だなぁと思い、朝の事務連絡はやめました。コンピュータに連絡掲示板があるので、ここに書くようにしました。その代わり1分間スピーチを始めました。これも玉置先生のところがやっていると聞いて、いいなと思いやってみました。やってみたら、すごく良かったです。そうやってできるところもあります。

ただ、今日教えていただきたいことが1点ありまして、「いいとこみつけ」なんですが・・・・。
一人に2つ3つしかいいとこみつけがないので、来年から手書きにしたいという申し出が教師からあったので、それはちょっとおかしいだろう。活用している学校の先生にお話を聞いて相談してみよう。担当の先生も来てもらっています。どんなふうに活用しているのですか。

大西 玉置先生、神戸先生どうですか。
玉置 やはり数年はかかると思います。何年かやっていく中で書けるようになると思います。
神戸 今、うちですと一人につき10は書きましょうという目標をたてています。日常の中、掃除の中、給食の中、授業の中で、担任の先生を中心に子どもたちのいいところを見るようにしています。
三原 中学校と違って、小学校は担任が授業をやるということで、となりのクラスのことは分からない。学年が違うと名前が分からない。クラスの子どもと担任は密接ですが、それ以外の子どもとの関係は希薄なのかなぁ。全員の子どもと接する機会が少ないだけに難しいのかなぁと思うのですが・・・。
玉置 私は、いいとこみつけは事実の記録でいいと思うのですよ。通知表で生活習慣が○といわれても、保護者の方には、何が具体的にどうなのか、よく分からない。それがあいさつができました、片付けができました、という事実の積み重ねで自信をもって評価できると思うんですよ。