フォーラム2005 in東京・IT活用による元気な学校づくり
実践発表&パネルディスカッション(1)
「ITを活用した開かれた学校づくり」〜学校HPの楽々毎日更新を通して〜
     
◆発表者 玉置 崇先生 光ヶ丘中学校校長
  西川菊次郎先生 光ヶ丘中学校教頭
◆コーディネーター 堀田龍也先生 静岡大学助教授
◆パネラー 玉置 崇先生 光ヶ丘中学校校長
  西川菊次郎先生 光ヶ丘中学校教頭
  宮崎 稔先生 学社融合研会長
  前田 肇氏 光ヶ丘中学校おやじの会代表
◆光ヶ丘中学校実践発表から
玉置 私が昨年赴任し、5月10日にリニューアルしたのですが、それまでのホームページはどうでしたか?
西川 多くの学校であるようにスタート画面では、学校を紹介するページになっていました。ただ、一番新しい情報はいつのものかと言いますと、数か月前の情報が最新だったように思います。
玉置 せっかくいいものがあるので、ブログ風にして、「校長メッセージ」「コラム」「生活」「授業」「地域」・・・といったカテゴリを作りました。教頭先生、特徴的なものを紹介してください。
西川 そうですね。今日のテーマにもある「地域」、たくさん情報が入っています。それから「PTA」。うちのPTAは学校からすると、好き勝手にやっているなぁというイメージもありますが、一番の根底に子どもたちのためにがんばろうということで動いていただき、非常に多くの情報が入っております。
堀田 5月から何記事ぐらい載せていますか?
玉置 土曜日も日曜日も、夏休みも更新しております。
堀田 そうすると、カテゴリを決めて、文章や写真を用意したりと、かなり大変だと思うのですが・・・
玉置 ところが、あまり大変じゃあないんですよ。アップしてみましょう。教頭先生お願いします。
西川
  • ユーザー名とパスワードを入力します。
  • カテゴリがあるので選びます。
  • テンプレートを選びます。
    普通はここでホームページを作らないといけないのですが、テンプレートを選ぶだけでできます。
  • タイトルを入力します。
  • 写真を選びます。最後に“実行”をクリックします。
玉置 職員はここで終わりです。実行をクリックすると、私のところにメールが届きます。ここからが校長の醍醐味です。
  • 承認ページに入ります。
  • 写真と文章に間違いがなければ、採用ボタンをクリックします。
これでホームページにアップされます。 私が出張中でも、インターネットにつなげることができれば、アップできる仕組になっております。
堀田 それは出張中でも決裁しないといけない仕組でもあるということですね。
玉置 そうですね。全ての責任は私にあるということです。学校文化として一番これがいいと思います。名前を入力することで、誰が作業をしてくれたかが分かり、校長としては声をかけることができるようになりました。この一言が学校の中では大切。「ホームページがみんなでアップされていく」これが一つのポイントだと思います。
◆パネルディスカッションから
堀田 なんでこんなにまでして情報を発信しているの?発信側の意図は何ですか。
玉置 一番はやっぱり校長メッセージに思いを込めています。
たとえば、集会の折にABCDの原則の話をしました。
A・・・当たり前の事 B・・・バカにしない C・・・ちゃんとやれる人が、Dえらい人
これを「校長メッセージ」に載せました。そうすると、家でも覚えていただいたようで、それがメールで来たりします。 「こんな思いで子どもたちを育てています、こんな思いで接しています」ということを今まで学校は、伝えていなかったように思います。手軽にできるホームページで思いを発信することが、理解を生むことだと第一に考えるようになりました。
堀田 たとえば、月に一度配られる学校だよりの校長先生の言葉より頻度が高いですよね。学級通信を毎日出している先生ぐらいのスピードで、どんどん伝わっているということですね。保護者の方はどれぐらい見ているのかな?
玉置 うちの学校の家庭のインターネットの接続率は90%です。一番喜ばれたのは、スキー研修。研修が終わり、子どもが家に着くまでに研修中の写真をホームページにアップしたところ、その日のうちにスキーの様子が分かり、家庭で話題ができましたというメールが届きました。
堀田

そうすると、情報が共有化されるというか、流通しているというか、ホームページに載せることはないにしろ、ホームページを見ましたというリアクションが来たりとかありますか?

玉置 学校公開の時など、お母さん方とすれ違う際、「見ています」と声をかけていただくことが多くなりました。
堀田 ここまで情報を家庭に届けるというのは、他の学校がやっていないことを考えると、思い切った決断だと思うのですが、どうなんですか。
玉置 伝えるべきで・・・、今まで学校はものを言っておらず、外でいろいろ言われていました。全てを載せることで、やっとここからコミュニケーションが生まれるんだという認識です。
堀田 そうすると、教育方針や教育活動を伝えるための装置として機能しているということですね。
  そもそも「地域が学校とつながるべきだ」と今までも色々な活動をやられてきたと思うのですが、学校のホームページを使って情報を発信し、地域とつながっていくという試みは、ここ数年のことだと思います。長年この手の活動に取り組んできた宮崎さんから見て、光ヶ丘中学校はどんなふうに見えますか。
宮崎 10年間ぐらいこういうことをやってきたのですが、結局、保護者は学校のことを知らないから、不安なんですね。見えないからつまらないうわさをするんです。見えてしまえば、みんな一緒じゃないかということです。
今まで不幸な関係があったのは、学校のことを知れば、苦情を言ったり突き上げたりすることが多かったような気がします。そのため、どちらかと言うと、先生方は自分を閉ざして見られないようにしている・・・・ところがそれでは信頼は生まれない。どんどんオープンにすることが、逆に信頼を生むことだと思います。
堀田

学校がホームページで気軽に情報を発信するためには
・簡単に発信できるシステムが必要

校長が決裁することが大切、地域からはどう見えているか
・学校長の生徒への思いが地域に伝わる
・地域は学校を注目する、応援する

学校と地域との連携とホームページの役割は
・ 学校と地域の不幸な関係(分かり合えない関係)を改善
・ オープンが信頼を生む