2004in東京 IT活用による元気な学校づくり
■パネルディスカッション「職員室のIT活用、どこからどう始めるか」
   
コーディネーター堀田 龍也静岡大学情報学部:助教授
パネラー玉置 崇小牧中学校:教頭
 神戸 和敏小牧中学校:教務主任
 加藤 浩之小牧中学校:教諭
 山本 瑞子小牧中学校:用務員
 舟橋まゆみ小牧中学校:保護者
 柳瀬 貴夫(株)エドウェル

 先生方のちょっとした努力がうまく噛合って学校全体のいい意味での効率化を実現し、効率化によって生まれた時間をさらに新しい活動に充てている小牧中学校。

 じゃあ、うちも明日からやろうと思っても簡単にはいかない。EDUCOMマネージャーを入れたらすぐできるかと言ったらそうでもない。仕事の形態や学校運営の仕組みが一緒に変わらないとうまくいかない。ではどこから始めたらいいのでしょう。ここまでくるにはどんな苦労があったのでしょうか。

◆玉置先生が6年前に小牧中に来られた時、このシステムはありましたか?(堀田)
 (玉置)
  学校組織をみても学校運営をみても一般的な学校でコンピュータが職員室の机上にあるといった学校ではなかったです。
◆そもそもこういう運営形態にしたいと考えたのはどうして?(堀田)
 (玉置)

 中学校は忙しいと言われているが、この忙しいさを解消することができないかというのが学校組織を運営していくうえで大切なこと。

 どうしたら忙しさを解消して先生方の持っている力を子どもたちに使ってもらえるだろうかと考えた時、学校には無駄なことがいっぱいあることに気づき、それを解消するのがネットワークではないかと思いました。

 最初にやったのは掲示板。とにかくコンピュータの掲示板に書き込んでそこに書いたことは言わないでおいたら、打合せの時間が短くなるのではないかと思って・・・。古いコンピュータをロッカーの上に4台ぐらい置いて先生方の様子を見ました。

 これはいけるなぁと手応えを感じたのは職員会議の意見収集。今はEDUCOMマネージャーの機能にありますが、当時は神戸先生が作ってくれた掲示板で、管理職が80項目ぐらい提案できるようになっており、それに対して賛成、やや賛成、やや反対、反対を選び、具体的な意見を書き込むといったものです。初年度は400ぐらいの意見が出ました。通常の職員会議ではこんな意見交換は考えられません。職員連絡会議だったのが、ネットワークで意見収集をすることにより密度の濃い職員会議となりました。

◆職員室革命−担任の立場からどういうことが変わりましたか?−(堀田)
(加藤)
 子どもとの接し方や見方が一面的でなくなりました。「いいとこみつけ」をしていろいろな見方ができるようになり、隣の先生とも実はね・・・・といった話をするようになりました。ちょっとしたところで会話が生まれ、そこからこうした方がいいよね・・・、ああした方がいいよね・・・という話になり、子どもの見方を学んだり他の先生方の考えを知ることができるようになりました。
◆職員室革命−事務処理の立場からどういうことが変わりましたか?−(堀田)
 (山本)
 以前は手書きをしており、手書きをしたものを教頭先生、教務の先生、校務の先生、そして校長先生に回覧し、それから担当者の名前が書かれたものがもう一度私のとこに戻ってきます。その時点で受理簿に担当者名を記入して配布しており、大変手間のかかったことをしておりました。でも今は文書受理という仕事を活かすことができると思っております。出勤してトップページを見ると、今日はどの先生がいつどこへ出張かみんなが確認することができ、電話を下さった方に対して正確にお答えすることができます。
◆職員室革命−教務主任の立場からどういうことが変わりましたか?−(堀田)
 (神戸)

 ネットワークが入って一番学校が大きく変わったなぁと感じるのは、情報のやりとりによって不必要な時間が要らなくなったこと。

 例えば、小牧中では特殊な学級についての会議もネットワークを使うので集まる必要がありません。日課を組むうえで一切考えなくていいのでとても効率が良いです。年間計画を立てるうえでも必要最低限の会議で済み、急遽集まってくださいといった集合がほとんどなく、授業を計画通りに進めることができます。

  
◆EDUCOMマネージャーをつくった立場から−どんな機能をなぜ入れたの?−(堀田)
 (柳瀬)

 今日はお誉めの言葉をいただいておりますが、実はここまでくるのに時間がかかっております。力を込めてこんな機能ができたということで教頭先生、教務主任の先生に持っていき説明をすると、「う〜ん、使えないかも・・・」ということがありました。

 先生方の日々の行動(朝来てどういうことをするのか・・・、昼休みは・・、放課後は・・・、学期末は・・・、学年末は・・・など)を考えてつくることを心がけております。最初は掲示板、その次にスケジュール機能、そのうちに入力したデータをここでも使えないか?というアイデアを先生からいただいて、使えるようにしましょうといろいろなキャッチボールをさせていただきながら、今のシステムになりました。

◆保護者の立場から−小牧中に子どもを預けてよかったと思うことは?−(堀田)
 (舟橋)

 二人子どもがおりまして下の子どもが入学した年にちょうど通知表が変わりました。
 上の子の場合は、年2回の懇談会で先生と話をして学校の様子を知るといった感じでなかなか学校の様子を知るチャンスがありませんでした。下の子の場合は、家だけではわからない子どもの様子を「いいとこみつけ」で知ることができ、とてもうれしかったです。

<<パネルディスカッションから>>

■学校においての「効率」とは
■「情報の使い捨て」からの脱却
 ・データの蓄積と再利用/別の見え方に変換
 ・情報共有による風通し/役割分担
■「学習する組織」として
 ・新人が仕事を覚える
 ・ベテランのノウハウを共有する
■「支えているシステム」を普及へ
 ・小牧中は数年後の理想型
 ・後進に同じ苦労は不要
トップページ