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教頭の福力稔先生 |
大阪青凌中学高等学校を一言でいうと、「コミュニケーション力のある学校」である。ホームページや学級だより等での発信はもちろん、教師が積極的に保護者や生徒の思いを受け止める、教師同士が互いに課題や情報を共有する、こうした取り組みが自然に行われている学校だ。教頭の福力稔先生は言う。
「決して上からの命令でやっているわけではありません。先生方が自発的に取り組み始めたことが、学校全体に広がっているのです」
教師一人の取り組みが、上からの命令なしに全校に広がることは容易なことではない。この、個の取り組みを学校力へと変える「コミュニケーション力」はどのようにして生まれたのだろうか。
◆広がり始めたホームページ
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入試広報部長の向忠彦先生 |
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岡橋昌俊先生 |
大阪青凌中学高等学校のホームページを見ると、中学校・高校の各学年による青凌通信、図書館通信、校長ブログなど、実に多くの先生方による日常的な発信にあふれ、鮮度の高いホームページとなっている。しかし、入試広報部長の向忠彦先生は言う。「3年ほど前までは、ホームページをそれほど重要なものとは考えていませんでした」
2年前のリニューアル当時も、教務部長であった岡橋昌俊先生がほぼ一人で更新する状態だったという。
「担任もなかったので私が中心になってやっていこうと思いましたが、更新しようとしても何を載せてよいのかわからない状態でした」と、岡橋先生。
ホームページを積極的に活用している他校の校長先生から、「とにかく今の時代、ホームページを更新しないことには始まらない。うちの学校は毎日更新している」という話を聞き、「これは負けてはいられない」と奮起したという。まずは365日毎日更新を目標に、学校の様子を発信し始めた。目標は達成し、生徒や保護者がホームページを見てくれるようになった。しかし、なかなか他の先生が記事を書いてくれるようにはならない。中学校、高校の各学年に担当をおき、デジカメも渡して環境を整えたが、「操作がわからない」「何を書いていいかわからない」「日々の業務が忙して手が回らない」 ―そんな声が上がってくる。
そこで根気よく操作方法を説明し、「生徒のふだんの様子を書けばいい」と声をかけることで、次第に記事を書いてくれる先生が増えてきた。記事をアップすると生徒や保護者から記事に対して感想が返ってくる。ときには、対外試合で出会った他校の先生も「読んでますよ」と感想を述べてくれる。こうしたことが励みになって、今では多くの先生が記事を書いてくれるようになったという。
 | 新しいことを定着させるためには、まずは核となる先生がいて動きださなければ始まらない。そして、その取り組みのよさを伝えて広げていくことが大切になる。大阪青凌中学高等学校では岡橋先生の頑張りでホームページが充実したが、そこでとどまらず、担当を増やし、会議や職員室での会話、いろいろな場でホームページのよさや反響を根気よく伝えたことが広がるきっかけになっている。この伝えようとする者に対し聞こうとする雰囲気があることが大切である。 |
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