子どもたちの学びをどう生み出すか
佐伯 胖(青山学院大学教授)


1 本当の問題は何か

勉強する意義が分からなくなってきていること。勉強時代の終焉。学んでも何もいいことがない。頑張って頑張ってやってみて、それで何なんだという時代。

これまでの我々の常識的勉強観がおかしかったなあと反省すべき。







2 学びとは  

人が共同体の活動に参加することを通して、全人格的な意味で「なってよかった自分」になること。
人間には意味が分かりたいという欲求がある。ネズミさえ、意味が分からないことは学ばない。

学びは実践共同体への参加である。
学ぶ力=他者と共に学ぶ力
協調学習こそが真の学習
他者のよびかけに応える=学びとは、恩返しだ

3 学ぶことの意義を回復せよ

・他者や共同体の「呼びかけ」への応え
・「ともに」善くなろうとし、善くしようとする
・シテクレル→シテアゲル(学習者=生産者)
・自ら他者を善くしようとし、してあげようとすることが学ぶことの意義を実感させる
「君の学びを使ってほしい人がいっぱいいるよ」と呼びかけよう。

4 遊びの重要性

「遊び」とは、その活動それ自体が充実し、何か別の目的手段ではなく、それ自体をより豊かに、より善いものにしようという活動である。

学び−勉強=遊び

  5 学ぶ力

学ぶ力の基礎1=納得すること
学ぶ力の基礎2=表現訓練
学ぶ力の基礎3=真実性感覚
学ぶ力の基礎4=知の分散化

学力論で決定的に欠けていたこと
学びの社会、文化的側面、学びの関係的側面

 

6 生涯学習を見据えた学校へ

脱「学校化」した学びへ
「学校化」=教育を「学校」内の「学校」のための「学校人」(生徒、先生)の営みに閉じこめない

学ぶことのおもしろさの回復
「わからなくなる」教育=わからないから熱中する
「わかる」とますますわからないこと」が出てくる。わかることも楽しいけれどわからないことも楽しい